エレーナはアルザス地方出身の文学部の学生です。彼女はブザンソン大学でアジア文化史を勉強していました。校内で日本文化祭が行われ、私は抹茶ケーキを担当し・・・そんな日仏親善を深めていたときに、彼女に作り方を教えてあげたのがきっかけでエレーナとは知り合いになりました。日本のお菓子を教えたのと引き替えに彼女のアパートに招いてくれ、お互いにお菓子好きがこうじてとても仲良くなりました。
今日はそんな彼女の作るアルザス地方の家庭ではよく作るというチェリーのサンドクーヘンを紹介します。
「リセ(高校)の放課後、帰りにテニスクラブに通っていたのよ。その時に必ずママンがお菓子をもたせてくれたの。このサンドクーヘンもよくママンが作ってくれて、クラブでよく食べていたわ」
そんなエレーヌの思い出のお菓子を昔のレシピノートを見ながら作ってみた。
フランスアルザス地方(ドイツと隣接した)はサクランボの宝庫だ。ここで厳選されたチェリーだけを使って蒸留したキルシュはとても有名だ。昔はここはドイツ領だったのでその名残でその名もドイツ語のサンドクーヘン(砂のお菓子)。彼女はそのサンドクーヘンに生のサワーチェリーを加えて焼いていた。
「生のサクランボを入れるのね」
今ではアメリカンチェリーを生で入れて焼いたお菓子があるが、昔日本ではフレッシュフルーツを入れて焼くことはあまりなかったのでとても新鮮に感じた。
フランスではスイートチェリー、サワーチェリー、ワイルドチェリーとあるが、
サワーチェリーの一種のグリオットはよく製菓用にされ生のままだと甘さが少ないため、ジャムにしたりシロップ漬けにしたりして愛用している。日本では輸入されているがとても高価なのでミシガン州のサワーチェリーを使うことにした。
サンドクーヘンの生地の中にこのサワーチェリーを入れる。アーモンドパウダーが結構入ったパウンドケーキのような感じで、とてもしっとりとしていてチェリーの酸味がほどよくマッチしていてとても美味しい。
エレーヌはお菓子作りが趣味とあって、この他にも色々と教えてくれました。
今日はそんなエレーヌのことを想い出しながら、カモミールのティザンヌ(ハーブティ)を嗜みました。
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