「さあ。みんなでパエラを食べましょう。」
パエラというのはなんか聞き慣れない名前であった。
パリのサンジェルマンの小さなアパートに住んでいた時、大家さんであるガバノン夫人は南仏に別荘を所有していた。
「もしよかったら春に遊びに来なさい。パリとちがって時間はゆっくりと流れるし、紺碧の海、おおらかな人々、とってもいいところよ」
彼女の誘いに私の胸は高鳴った。
南仏のエクスアンプロヴァンスという街にTGVで着くと彼女は車でむかえにきてくれた。
お昼頃ガバノン夫人の家に着くと、広いお庭ではもうすでにお昼のパーティの準備が始められていた。
真っ赤な玄関の扉から入ると彼女は2階の小さなかわいらしい部屋を私に用意してくれた。
お庭では大きな鉄鍋に黒い石を大きなスコップ?で煎るようにしていた。最初は黒い石を焼いて、焼き芋みたいなものを作るのかな。と不思議に思っていたらその黒いものの正体はムール貝であった。
「これらを最初にいためてから、お米を入れるんだよ。そうすると貝の汁をお米が吸ってとっても濃厚な味になるんだ。」
その時始めてパエリアを作っていることがわかった。
フランスではパエリアのことをパエラと呼んでいるのである。
上から大量の南仏カマルグ産のお米をぱらぱらまき散らすように入れる。その豪快さには圧倒されたものだ。
薪の木で大鍋で炊くパエリア。
南仏の海の幸をふんだんに入れて、サフランの香ばしいかおりのパエラを口の中で頬張りながら食べる。
魚介がたっぷり入ったパエラ、その醍醐味は最高だった。
そして今日はももちゃんの桃の節句。
そんな南仏のことを想い出しながら、パエリアを作ってみた。
ももちゃんも最近はチャオチュールを混ぜてあげるとご飯も食べるようになった。
あさりは産地偽装で問題になっているので買わなかった。ムール貝も新鮮なものがなかなか手に入らなかったので、ボリューム感はいまいち
だったが、ももちゃんも魚介の味がすごくするので、喜んで食べていた。
生まれてからちょうど1年半経った。
これからも健やかで幸せな日々が送れますように。
「う~。にゃーにゃー」 (わたし、とってもしあわせにゃん)
ももちゃんを囲んで我が家のひな祭りを南仏パエラでお祝いしました。
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