クリスマスが終わって少し落ち着いたかなと思っていたら、カロリーヌから「ガレットパーティをしない?」とお呼びがかかった。つい最近クリスマスパーティがあったばかりなのに。。。
私はいそいそと日本の梅酒を小脇に抱えて彼女のアパルトマンへと向かった。
「ボンジョール。カロリーヌ」
玄関のドアを開けると細い廊下があり、右側には大きなリビングルームがある。
早速中に案内されテーブルに着くと、
ママンはオーブンから熱々のパイを取り出した。
「まこ。ガレットが焼き上がったわよ」
食卓の上にミトンを使ってオーブンプレートをどんとのせた。
きつね色に焼き上がったアップルパイのような形をしたパイ菓子。初めて見るお菓子だ。
お父さんが6つに切り分けお皿の上にのせる。
「これはクリスマスから10日経つと、公現節というお祝いがあるの。キリストの誕生にあたり天使からの告知を受けて三人の賢者がベツレヘムのキリストの誕生を拝み来るといわれている日なのよ。それをお祝いしてガレットデロワを食べるようになったのよ。」
これは日本でもクリスマス商品からすぐにおせち料理にがらっとかわるように。
フランスのクリスマスの時にはビュッシュドノエル(薪の木のケーキ)だが、年が明けると、すぐにこのガレットデロワが至るお菓子屋さんのショーウインドーにあふれるように並んでいる。
(リサイクル写真 カロリーヌ)
私はどんな味がするのか楽しみにこのパイを食べていると、突然、アーモンドクリームの中にかちんと歯に当たるものがあった。
「あれ?これは何?」
「マコが当たった~!」
「それがフェーブ(おみくじの当たりの陶器)というものよ。今日はあなたが王女様。相手の王様を選ぶのよ」
なんだかわけが分からないまま、王様にはカロリーヌのパパを指してしまった。そして、お母さんはパパの頭の上に黄金の紙でできた王冠をのせた。お父さんが私にフェーブが当たるように、切り分ける時に仕掛けてくれたようだ。
「王妃様のマコ。王様のパパ。バンザーイ。今年は二人ともきっと幸せな年になれるわよ」
これがおみくじのお菓子というものなのね。みんなはガレットデロワの歌を歌い,踊り出した。
Dans la galette des rois ♬ ドン ラ ガレット デ ロワ~♯♭♫♪♬
私はダンスをしたことがないのでぎこちなかったが、お父さんと腕を組みながら、ぐるぐると回っていた。
みんなから祝福されて、ちょっとほおが紅潮していた。
12月になると、一般に本物のもみの木でできたクリスマスツリーの横にクレーシュ(キリスト生誕のお人形)が置かれる。12月25日キリストが生まれてから(この時点ではまだ証明されていないので)東方から訪れた三人の博士が1月6日にキリストを発見し証をしたので博士のお人形も三つ加わる。これで本当のクリスマスツリーの完成だ。
年が明けて、1月6日までクリスマスツリーを飾っておくのにはびっくりした。
この日が公にキリストが生まれたということが承認された日(公現説)だからということである。
呼ばれたら、次回は招待された方が招く。そんなことで新年もまたお祝い事で忙しいのである。
今日は、高校時代のお友達を呼んでガレットデロワを作った。クリーム(クレームダマンド)にキャラメリゼさせた林檎をはさみ中には陶器のの形をしたのフェーブ(おみくじの当たりの陶器)を入れた。
「さあ。切り分けるわよ~」
フェーブを引くのはだれかな~とテーブルの上のガレットを切り分けていたら、ころんとお皿の上に落ちてしまった。
「まあ、みんなが当たったことにしましょう」
さくさくのパイを食べながらみんなが王様と言うことでお祝いをした。
紅玉林檎の甘酸っぱさとアーモンドクリームの相性は絶妙であった。
今年もきっとみんないいことがありますように。
シードルを飲みながら、一年の抱負を語りあったのだった。
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