タルトタタンのおはなし

タルトタタンはソローニュ地方というパリから南へ1時間半にあるラモットブーヴロン(Lamotte Beuvron)という街の駅前ホテルタタンというのが発祥の地です。

人口わずか4000人ほどの小さな街にホテルを経営していた姉のステファニーと妹のカロリーヌというタタン姉妹がいました。

彼女たちがもてなす家庭的な料理は深い森で狩猟をしてきた猟師や街の食道楽の人々に人気がありました。

(タタンホテル)

おしゃべりなステファニーはお客さんと長い間話しているうちに、ランチに出すデザートを作ることを忘れてしまったのです。

あわてた彼女は型の中にバター、砂糖そしてりんごを詰めてオーブンへ。

オーブンから取り出すと、残念なことにパイ生地を下にしくのをわすれてしまったのです。

「あら!どうしよう」

キャラメル状になった林檎の上に、とっさのアイデアで上からパイ生地をかぶせてオーブンへ入れることにしました。

オーブンから取り出し、焼き上がったパイを大皿にまるごとひっくり返したのです。

するとこんがりと飴色に輝いたりんごはとってもいいにおい。

その熱々のパイをお客様に出したのであります。

すると「こりゃ。うまい」

林檎のうまみたっぷりのタルトに猟師たちは絶賛したのです。

失敗から生まれたお菓子ですが、このタルトはホテルタタンの看板菓子となり、美食で名高いキュウルノンスキーなども試食にきて、感銘を受けました。

そして高い評価を出したので、一躍タルトタタンはフランス中に広まったのだとか。

タルトタタンはソローニュ地方やオルレアン地方一帯に人気のタルトで、もも、洋梨、アプリコットなどでも作られます。

毎年9月りんごの季節がやってくると、タタン祭りが行われています。

タタン姉妹は1900年代の前半に亡くなりましたが、今でもラモットブヴロンの名物としてタタン姉妹のレシピが忠実に伝えられ、ホテルにて提供されています。

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