南フランスの想い出(1)プチオーベルジュ編

南フランスから日本に帰ってきて一番最初に始めたのが「南フランス村料理クラブ」という料理教室であった。

世界で一番美しいと思える村々が点在する南フランス.

ここを訪れた人の心をいつまでも惹きつけてやまない。

プロヴァンスの風景、人々の暮らしぶり、美味しいワインとお料理、私には忘れられないものとなった。

そんな気持ちを託して、みんなに南仏の情景、そしてお料理を伝えたいと思ったからであった。

ラタトゥイユ、アンショワイヤード(アンチョビ・にんにく・オリーブのソース)ドーブドブッフ(牛の赤ワイン煮込み)南仏風サラダ、魚介類のスープなどなど、

サンサンと輝く太陽の下で、パスティス(ニガヨモギを始めとし様々な薬草、香草をブレンドしたリキュール)をカフェで飲む。

美味しい魚介類、品質のよい葡萄のお酒などまさに南仏は食材の宝庫である。

今回紹介するオーベルジュは本当に手頃な値段の2万円ぐらいで朝食、宿泊できるところだ。

何といってもフランスの田舎の魅力はオーベルジュにあると言っても過言ではない。

ここのAubergeのMazets des Rochesは、プールが付いていて、朝食付き、とても感じが良くてサービスもすばらしかった。

⚫Aubergeの朝食

フロマージュブラン(白チーズ)とマロンのムース、ヌーテラ(チョコレートスプレッド)アプリコットのコンポートなど


自家製アプリコットとイチゴのジャム。

隣の部屋には北欧デンマークからの夫妻、「ここに1週間滞在してプロヴァンスを二人で楽しむのよ」

一日ハンモックで昼寝をしたり、プールに入ったり、休日をゆっくりと満喫していた。

かごに入ったプチクロワッサンとブリオッシュ。

素朴な森林の香りのするオーベルジュでプロヴァンスの住人になったように、ゆっくりと時間が流れていく。

色々なところに足を運ばなくても近場で充分楽しめる。そして普段着の生活がのぞける。

そんな意味で1つの田舎町を拠点にして、小さな村を訪れる。

ここに泊まりながら、近くのモンマジュール修道院やワインの聖地シャトーヌッフデュパップ(Pere Anselme)のワイナリ、アルフォンスドーデのフォントヴィエイユの風車小屋、アルルのマルシェなどを散策する。

⚫まずは、シャトーヌッフデュパップでワイン農家を訪問する。

アヴィニヨンのすぐ北にあるこの地は、昔、法王の別荘が建てられたのが名前の由来(法王の新城)で宝石のように輝く力強い個性を持ったフランスでも有名なワインの産地だ。ワイン好きの人が聞いたらうっとりとするであろう。

収穫したワインを樽の中に入れる。この地方の葡萄畑は地面が土ではなく小石に覆われていて、夜でも保温してくれるので良質の葡萄ができるらしい。

ワイナリーでは昔の葡萄酒の醸造法を教えてもらう。

シャトーヌッフのワインをたくさん試飲した後、農家でだしてくれた家庭料理(この土地のワインと仔羊を煮込む)だ。オードブルにはタプナードとアンショワイヤードのカナッペ、なすのキャビアもワインと絶妙な味わい。最後のデザートはこの農家の息子が作ってくれた貴腐ワインで煮た黄桃のコンポート。すべてが手作りの家庭料理で最高であった。

お土産に年代物の赤ワインをいただいてしまった。ラッキー!

⚫Fontvieille(フォントヴィエイユ)

ひなびた丘の上にぽつんと一軒の風車小屋が建っている。これが1866年アルフォンス・ドーデが「風車小屋便り」を執筆したところだ。階段を上って上に行くと、近郊が見渡せ、何となく旅情を感じるところだ。

⚫アルルのマルシェ

少し足を伸ばしてアルルのマルシェ(土曜日)で買い物をする。

カヴァイヨンのメロンは世界一といわれるほど果肉は目を見張るようなオレンジで硬めで、すっきりとした甘さ。前菜に生ハムをのせたりもちろんデザートにも。「皮の縞が10本あるのが甘くて美味しいメロンだ」と市場のおじさんが教えてくれた。

フーガス、ソーシソン(サラミ)南仏ならではの味を楽しむ。

20種類くらいのオリーブ。好きなオリーブを言えばいくらでも味見をさせてくれる。

美味しい魚介類、太陽の下で育った葡萄のプロバンスのお酒などあらゆる農産物に恵まれたこの地方の人々。

南仏の色々なところを走り回らなくても、1つの田舎町だけで充分満喫できる。

ここにいるだけで最高に幸せ。。。

毎日が素晴らしき休日なのである。

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