「わー。レモンのシロップ?」
フランス南部マントンのビストロに入った時のことだった。
オープンキッチンの上方にワイングラスが並べられその下には、ずらっとレモンの瓶詰めが置かれていた。
レモンの名産地で有名なマントンのことなので、砂糖漬けにしたレモンシロップかと思っていた。
ところが、魚の網焼きを注文したお皿には、このレモンのシロップをかけている。私はムッシューに思わず聞いてしまった。
「魚の上にレモンシロップをかけるんですか?」
「ノン。これは、塩レモンと言うんだ。レモンスライスと岩塩を交互に重ね合わせ、ローズマリーも入れたものを一ヶ月寝かせて発酵させるんだよ」
レモン生産量フランス一のマントンの名物として知られるのは、レモンのお菓子「タルト・シトロン」やレモンジャムだが、
このように塩に漬けるものは初めて見たのだった。
「この塩レモンをかけてその上からハーブとオリーブをかけRouget(ヒメジ)、Pageot(真鯛の仲間)Sardin(いわし)等の魚ををグリルするんだよ」と店主が。
今では塩レモンは流行っているが、30年も前のことなので、当時は日本ではあまり知られていなかった。
その時初めて見た塩レモンだったが、南フランスから下に南下した北アフリカのモロッコやアルジェリアでは万能調味料なのだこことが最近になってわかった。
家では今年もゆずが鈴なりになった。
塩レモンでなくて、ゆずをたくさん収穫し、ゆずと岩塩を交互に入れて塩ゆずをたくさん作ってみた。
10日くらい寝かせて発酵してきたら、マリネ液として使う。
鱈を買ってきて、その上に塩ゆず、ミックスハーブ、オリーブオイルをかける。
ゆず(レモン)とハーブとオリーブがマリアージュした香ばしい味、これぞ南仏の風味たっぷりの味だ。
ついでに、塩ゆずの中にウオッカとグレープフルーツジュースを加え、ゆずのソルティドッグ風を作った。これまた、なかなかお洒落なカクテルができあがった。
そんなことで今日もゆずづくし、南仏気分で、かんぱーいデース。
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